<大切なもの>を失ったあなたに 喪失をのりこえるガイド

2006年刊 ロバート・A・ニーメヤー著 / 鈴木剛子訳 春秋社 

 

 アメリカにおけるグリーフ研究の第一人者ニーメヤー氏による「意味再構成」「構成主義とナラティヴ・アプローチ」の研究書。死別当事者がいかにして人生の苦難に向き合い社会に適応してゆくかについての豊富な研究事例による実践的ガイドブックであり人生哲学書ともいえる。専門的であるが、大切な人を亡くした者にとっては一つ一つの事例と解説が自身の体験に照らして納得できる内容である。(中~上級)

愛する人を亡くした方へのケア 医療・福祉現場におけるグリーフケアの実践

2008年刊 宮林幸江/関本昭治著 日総研出版

 

「悲嘆回復ワークショップ」を実践してきた宮林氏の集大成ともいうべき著書。副題にあるとおり、看護師など医療従事者がどのようにして死別者に接したらよいのかをケアギバーの立場から著す。特にサポートグループの開催方法、進行、ファシリテーター・スタッフの心得などイラスト入りで詳細に解説している貴重なマニュアル本。(初~中級)



グリーフケア 死別による悲嘆の援助

 

2012年刊 高橋聡美 編著 メヂカルフレンド社

あしなが育英会との協力により遺児ケアを仙台で実践してきた高橋聡美氏が編者となり、家族療法、自死遺族、ホスピスケア、流産、災害死など様々な分野の専門家が共著している。学術的研究というよりは、医療関係者 ボランティア支援者、カウンセラー、ファシリテーターなどサポート側にとっての必読書の知識と実践例が充実している。(初~中級)


悲嘆学入門 死別の悲しみを学ぶ

2010年刊 坂口幸弘 著 昭和堂

 

坂口氏は日本における遺族研究、グリーフケア理論の若手研究者の一人。氏の提唱する「悲嘆学」を体系的にまとめた内容で、海外の最新グリーフ理論、臨床研究等を分かりやすく紹介している。学術研究・調査にとどまらず、氏は葬儀社と協力して遺族会の指導をするなどフィールドワークを重視しているため、机上の空論でない実践的な研究成果に説得力がある。(中級~上級)